ドッペルシュテルン / バルバラ・モルゲンシュテルン
Doppelstern / Barbara Morgenstern (2015)

二重星＝見せかけをキーワードに
変化に富むコラボレーションを展開する

　ドイツのエレクトロニック・ポップのヴェテラン、バルバラ・モルゲンシュテルンの新作です。

　なぜこのアルバムに関心を持ったかというと、ニューヨークを拠点に活動する筆者お気に入りのチェリスト、ジュリア・ケントが、まあ１曲だけではありますが、参加していたからです。ジュリアが初めてバルバラのアルバムに参加したのは、2008年の『BM』で、その後はステージで共演したりもしてきたようです。

　ジュリアが参加しているのは、７曲目の＜Facades＞ですが、このアルバムは全体のコンセプトがなかなか面白いです。１曲ごとに異なるミュージシャンとコラボレーションそているのですが、“ドッベルシュテルン／Doppelstern”というタイトルに狙いが示唆されています。

　このタイトルは、「二重星」を意味しているようです。非常に近接して見える２個の恒星が二重星で、通常は肉眼では１個にしか見えないが、望遠鏡では２つに見える。そこから“見せかけ”というキーワードが浮かんできます。

　実は７曲目のタイトルである“Facades”は、バルバラが初めてジュリアのマンハッタンの家を訪れて、バルコニーからニューヨークのスカイラインを一望したときに思いついたらしいのですが、この言葉も“表層”とか“見せかけ”といった意味があります。