ヘリテッジ / キャロライナ・チョコレート・ドロップス
Heritage / Carolina Chocolate Drops (2008)

スタジオ＆ライブ・レコーディング
CCDが現代に甦らせる貴重な“遺産”

　キャロライナ・チョコーレート・ドロップスは、ノースカロライナとサウスカロライナにまたがるピードモント台地に残る伝統音楽を中心としたレパートリーで、忘れられかけた伝統を現代に甦らせるブラック・ストリング・バンドです。バンドの結成は2005年。初期のメンバーは、リアノン・ギデンズ、ドム・フレモンズ、ジャスティン・ロビンソン（2011年にバンドを離れる）の３人で、各自がバンジョー、フィドルなどの楽器とヴォーカルをこなします。

　2006年リリースのデビューアルバム『Dona Got a Ramblin’ Mind』は、１曲を除いて同年4月11、12日にレコーディングされたものでした。本作の場合は、それ以前の2005年12月のレコーディング（1、4、10、15）、2006年12月のライブのレコーディング（3、8、9）、そして2007年6月のレコーディング（2、5、7、11、14）などが集められているので、明確な方向性を持ったアルバムというよりは、コンピレーションに近いものと考えたほうがよいかもしれません。

　ただ、もともと彼らは、バンドとして活動することではなく、忘れられかけたルーツ・ミュージックを守ることを目指していたので、間違いなく“Heritage（遺産）”というタイトルに相応しい内容の作品にはなっています。