「集団的暴力を可能とする集団が維持され力を得るために必要な、いわゆる戦士としての男らしさ、そしてそのような男らしさを補助・補完する女らしさの社会的形成とともに、このような集団の維持・保存のための訓練と単一的位階秩序、役割分業などを自然のことと見なすようにするさまざまの制度や信念維持装置を含む概念」
長きにわたる軍事政権を通して社会に浸透してきた軍事主義の根は深い。だから、政界も、検察や警察も、暴力組織もその根元には軍事主義がある。
映画のプレスにはユン監督のこんなコメントがある。「ノ・テウ大統領が当選した後、チンピラたちが政界を力で支えているのは自分たちだと暴れ出した。彼らが問題を起こし始めたので、“犯罪との戦争”という巨大なショーが企画された」
この映画で、ボスのヒョンベは軍事主義の秩序に組み込まれている。これに対して極道でも堅気でもない“ハンパ者”のイクヒョンは、秩序に縛られることなく、同様の秩序に縛られた組織や警察を利用する。
イクヒョンはあくまで自分が生き残るためにそうしているに過ぎないが、結果として組織や警察に違いはなくなり、軍事主義が炙り出されることになるのだ。 |