大作でもなく、スタッフやキャストに大物が起用されているわけでもないのに、第80回アカデミー賞で主要4部門にノミネートされ、話題をさらった作品。それが、10代の妊娠を題材にしたジェイソン・ライトマン監督の『JUNO/ジュノ』だ。
なかでも特に注目なのが、ストリッパーの経歴を持ち、映画の脚本にクレジットされているディアブロ・コーディだろう。脚本を書くきっかけは、彼女のブログのファンだったプロデューサーのメイソン・ノヴィックが彼女にコンタクトをとったことだった。そのノヴィックのサポートを受けて書き上げた脚本は、結局、アカデミー賞の脚本賞に輝いた。
映画の舞台はミネソタ。流行には無関心、パンクロックとB級ホラー映画が好きな16歳の高校生ジュノは、興味本位でした初めてのセックスで妊娠してしまう。悩める彼女は、一度は中絶を決意するが、病院を前にして気持ちが揺らぎ、里親を希望するリッチな夫婦を探しはじめる。
変わってはいるが自立心に富むジュノ。クールに見えて、いざというときに頼りになる親友リア。娘がドラッグで問題を起こすよりもと、前向きな姿勢を示す両親。養子縁組をきっかけにお互いの関係を見つめ直していく里親。
個性豊かで等身大の魅力を放つ登場人物たちが、重くなりがちな題材を、新鮮で小気味よいドラマに変えていく。決してポップなだけではなく、彼らが、責任も含めて個人をしっかりと尊重しているところに、この映画の魅力がある。
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