ジャドと同じようにバンリューで育ち、作家としてこれまでに6冊の作品を出版し、2011年に発表した『Papa was not a Rolling Stone』を自ら映画化した『Papa was not a Rolling Stone』(14)で監督として長編デビューを果たしたシルヴィー・オハヨンの長編第2作。孤高のお針子エステルを、『わたしはロランス』(12)、『田園の守り人たち』(17)のナタリー・バイ、バンリューに暮らす少女ジャドを、『パピチャ 未来へのランウェイ』(19)、『GAGARINE/ガガーリン』(20)、『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』(21)のリナ・クードリが演じる。その他のキャストは、『MISS ミス・フランスになりたい!』(20)のパスカル・アルビロ、『ビッグバグ』(22)のクロード・ペロン、『モスル〜あるSWAT部隊の戦い〜』(19)のアダム・ベッサ、『パリの家族たち』(18)のクロチルド・クロなど。(プレス参照)
本作が扱っている題材への関心は、大きくふたつに分けることができるだろう。ひとつはもちろんファッション。そしてもうひとつがフランスのバンリュー(郊外)、ジャドが生きる世界。筆者の場合は主に後者だ。シルヴィー・オハヨンのプロフィールには、幼少期をパリ郊外ラ・クルヌーヴの大規模団地(cite des 4000)で過ごしたとあり、ジャドの設定には彼女の個人的な体験も反映されていると思われる。