オマール、最後の選択
Omar　

個人的な世界がすべて政治的な対立に利用され
友情や愛が引き裂かれていく悲劇

　『パラダイス・ナウ』（05）、『クーリエ 過去を運ぶ男』（11）のハニ・アブ・アサド監督の2013年作品。第86回アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた。

　映画は、主人公オマールが、監視塔から狙撃される危険に晒されながら分離壁を乗り越えるところから始まる。壁の向こうには、幼なじみのタレクと彼の妹ナディアが暮らしている。タレクは反イスラエルの闘士のリーダー的な存在で、親友であるオマールとアムジャドも彼と行動をともにするようになっている。と同時にオマールはナディアに恋をしている。

　ある日、タレク、オマール、アムジャドの３人はある計画を実行に移すが、その事件が彼らの運命を変えていく。イスラエル保安部に逮捕されたオマールは、拷問を受け、刑務所で死ぬかスパイになるかの選択を迫られる。オマールはそんな保安部を出し抜こうとして、泥沼にはまっていく。

　レビューのレキストは準備中です。登場人物たちの個人的な世界、個人的な関係が、すべて政治的な対立に利用され、疑惑や裏切りに繋がり、友情や愛が引き裂かれていくことになります。また、パレスチナの日常を映し出すドキュメンタリー的な側面も印象に残ります。