娘は戦場で生まれた
For Sama


2019年/イギリス=シリア/アラビア語/カラー/100分
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(初出:「ニューズウィーク日本版オフィシャルサイト」コラム「映画の境界線」2020年2月28日更新)

 

 

シリア・アレッポで母はカメラを回し続けた

 

[解説] いまだ解決をみない未曽有の戦地シリア。本作は、2012年から都市アレッポ陥落となる2016年までが、若き母親ワアドの目を通して綴られていく。街で最後の一つとなった病院を運営する夫とともに戦場に残り、真実を映像に残すことを心に決めたワアドは、無差別な空爆で無残にも失われていく命、そして祖国を愛する人々の悲しみをひるむことなくカメラにおさめる。死と隣り合わせの中で彼女がとらえた貴重な映像は、戦争と女性、家族の有り様を現代的に、人間の根源的な愛情をもってつぶさに見つめ世界中を驚愕させた。

[ストーリー] ジャーナリストに憧れる学生ワアドは、デモ運動への参加をきっかけにスマホでの撮影を始める。しかし、平和を願う彼女の想いとは裏腹に、内戦は激化の一途を辿り、独裁政権により美しかった都市は破壊されていく。そんな中、ワアドは医師を目指す若者ハムザと出会う。彼は仲間たちと廃墟の中に病院を設け、日々繰り返される空爆の犠牲者の治療にあたっていたが、多くは血まみれの床の上で命を落としていく。非情な世界の中で、二人は夫婦となり、彼らの間に新しい命が誕生する。彼女は自由と平和への願いを込めて、アラビア語で“空”を意味する“サマ”と名付けられた。幸せもつかの間、政府側の攻撃は激しさを増していき、ハムザの病院は街で最後の医療機関となる。明日をも知れぬ身で母となったワアドは家族や愛すべき人々の生きた証を映像として残すことを心に誓うのだった。すべては娘のために――。[プレスより]

 「ニューズウィーク日本版オフィシャルサイト」の筆者コラム「映画の境界線」で本作品を取り上げています。その記事がお読みになりたい方は以下のリンクからどうぞ。

シリア・アレッポで母はカメラを回し続けた|『娘は戦場で生まれた』


◆スタッフ◆
 
監督   ワアド・アルカティーブ、エドワード・ワッツ
Waad Al-Kateab, Edward Watts
編集 Chloe Lambourne, Simon McMahon
音楽 Nainita Desai
 
◆キャスト◆
 
    ワアド・アルカティーブ
Waad Al-Kateab
  ハムザ・アルカティーブ
Hamza Al-Kateab
  サマ・アルカティーブ
Sama Al-Kateab
-
(配給:トランスフォーマー)
 

 

(upload:2020/04/08)
 
 
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