グレース・オブ・ゴッド 告発の時
Grace a Dieu / By the Grace of God


2019年/フランス/カラー/137分/ビスタ/5.1ch
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(初出:「ニューズウィーク日本版」映画の境界線2020年7月16日更新)

 

 

カトリック教会の神父による児童への性的虐待事件の映画化
性的虐待を隠蔽し、加害者を野放しにする秘密を守る文化

 

[Story] すべての始まりは2014年、妻子とリヨンに暮らす40歳のアレクサンドルが、同じボーイスカウトにいた知人から「君もプレナ神父に触られた?」と尋ねられたことだった。辛い記憶がよみがえった彼は、今もその神父が子供たちに聖書を教えていることを知り、大きな力を持つバルバラン枢機卿に相談する。枢機卿は彼の訴えに理解を示すものの、一向に神父を処罰しようとはしない。業を煮やした彼は、自分の事件は時効でも他に被害者がいるはずだと考え、神父に対する告訴状を提出する。

 告訴を受けて動き出した警察は、91年に以前の枢機卿に送られた手紙を発見する。それは被害者フランソワの母親が神父の行いを訴える手紙だった。その出来事を過去のことと割り切っていたフランソワは、神父が現役であることを知って怒りがこみ上げ、神父だけでなく、事件を隠蔽した枢機卿も訴える決意を固める。さらに、フランソワが立ち上げた被害者の会の記事を読み、心を動かされた時効前の被害者エマニュエルが声も上げる。

[Introduction] 新作を発表するたびに、心待ちにしていた映画ファンを、全く違う世界へ と誘うフランソワ・オゾン。今やフランス映画界のトップにして最先端に立 つオゾン監督が、初めて実話に基づいた物語に挑む。ヨーロッパを震撼させ た神父による児童への性的虐待事件の真相に迫ったのだが、事件の裁判は現 在も係争中で、渦中の神父から上映差し止めを訴えられたという、オゾンの 華麗なるキャリアでは前代未聞の事態へと発展した話題作が、ついに日本に も旋風を巻き起こす。

 出演は、若き天才グザヴィエ・ドラン監督の『わたしはロランス』で圧倒 的な存在感と美しさを発揮したメルヴィル・プポー、『ブラッディ・ミルク』 でセザール賞を受賞したスワン・アルロー、ヴェネチア国際映画祭で監督賞 を受賞した『ジュリアン』の父親役が記憶に新しい実力派のドゥニ・メノー シェ。本作で 3 人揃ってセザール賞にノミネートされ、心をうがつ傷を繊細 かつリアルな演技で表現したアルローが見事助演男優賞を獲得した。 [プレスより]

 ニューズウィーク日本版の筆者コラムで本作を取り上げています。その記事をお読みになりたい方は以下のリンクからどうぞ。

性的虐待を隠蔽し、加害者を野放しにする秘密を守る文化 『グレース・オブ・ゴッド 告発の時』


◆スタッフ◆
 
監督/脚本   フランソワ・オゾン
Francois Ozon
撮影 マニュ・ダコッセ
Manuel Dacosse
編集 ロール・ガルデット
Laure Gardette
音楽 エフゲニー&サーシャ・ガルペリン
Evgueni & Sacha Galperine
 
◆キャスト◆
 
アレクサンドル・ゲラン   メルヴィル・プポー
Melvil Poupaud
フランソワ・ドゥボール ドゥニ・メノーシュ
Denis Menochet
エマニュエル・トマサン スワン・アルロー
Swann Arlaud
ジル・ペレ エリック・カラヴァカ
Eric Caravaca
バルバラン枢機卿 フランソワ・マルトゥレ
Francois Marthouret
ベルナール・プレナ ベルナール・ヴェルレー
Bernard Verley
イレーヌ(エマニュエルの母親) ジョジアーヌ・バラスコ
Josiane Balasko
オディール(フランソワの母親) エレーヌ・ヴァンサン
Helene Vincent
-
(配給:キノフィルムズ/東京テアトル)
 

 

 

(upload:2020/07/19)
 
 
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