[ストーリー] 17歳のジュリアンは、失業して久しぶりに帰ってくる父ポールとの再会を楽しみにしていた。だが、車いすの息子とどう接していいか分からないポールは、口をきこうともしない。ジュリアンはネットで見つけた「障がいのある息子とアイアンマンレースに参加」という記事を、トライアスロン出場経験を持つ父に見せ、「一緒にレースに出たい」と詰め寄る。「ムリだ」のひと言で却下されるが、負けず嫌いのジュリアンは様々な作戦で父を説得、晴れてチームを結成する。母の反対、実行委員会の拒絶、厳しいトレーニング、思わぬケガ――立ちふさがるトラブルを乗り越えていく二人。そして迎えた運命の日、様々な困難を乗り越えた“グレートデイズ”にゴールは来るのか――?[プレスより]
監督は、ベルトラン・タヴェルニエ監督の息子で、バレエダンサーの世界を描いた『エトワール』(01)など、ドキュメンタリー作品で手腕を発揮してきたニルス・タヴェルニエ。主演は、ポールに『レセ・パセ 自由への通行許可証』(02)、『刑事ベラミー』(09)、『最初の人間』(11)のジャック・ガンブラン、『Ricky リッキー』(09)のアレクサンドラ・ラミー、そして監督が170の施設を訪問して見出したファビアン・エロー。
ストーリーそのものは夢のような話ですが、ドキュメンタリーで手腕を発揮してきた監督が演出し、実際に障害を持つ青年が息子のジュリアンを演じているので、非常にリアルなドラマになっています。もしかすると実話の映画化と勘違いする人もいるかもしれません。
クライマックスのレースは感動的ですが、筆者が最も印象に残ったのは、父親のポールが自転車を改造して、前部にジュリアンを乗せてアルプスの山々に囲まれた自然のなかを走る場面です。父親が息子を通して風を受ける喜びを取り戻す瞬間の感覚がしっかり伝わってきます。クライマックスのようにストーリーに支えられた場面というのは、観ているそのときにはとても盛り上がりますが、後々まで残るのは、ストーリーよりも生身の感覚が伝わってくる場面です。そこが映画の面白いところでもあると思います。
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