本作で長編デビューを果たしたのは、2005年のFilmmaker Magazine誌で〈今後のインディペンデント映画を牽引する25人〉に選出された新鋭ショーン・ダーキン。現実的かつ写実的に人間の存在理由を問う本作は、スリラー、内省物語、家族ドラマなど多彩なジャンルにまたがる新鮮さが絶賛され、29歳でサンダンス映画祭の監督賞を受賞。カンヌ国際映画祭でも〈若者の視点〉賞を受賞した。
ダーキンは、ニューヨーク大学(NYU)2年生だった2003年にカンポス、モンドと3人で “Borderline Films”を設立。「最小限の資金で最高レベルの達成を」を合言葉に、30秒のCMから長編映画まであらゆる映像作品を手掛けて世界の注目を集める新進気鋭の製作集団だ。アートとコマーシャルに境界は存在しないという信条のもと、互いの監督作品を各方面からサポートし合う。彼らのもとには30代未満の若手映画人が自然と集まっており、本作の撮影監督ジョディ・リー・ライプスやワッツ役のブラディ・コーベットら常連の仲間たちとのコラボレーションの広がりは、アメリカ映画界発の新しい波となりつつある。 ダーキンはイギリスのChannel 4の新作ドラマ「Southcliffe」の監督に抜擢されたと報道されたばかり。Borderline Films での監督第2作としては、ジャニス・ジョプリンの最後の6ヶ月を描く映画「Janis」が2013年クランク・イン予定で、プロデューサーのピーター・ニューマン(『スモーク』(95)『イカとクジラ』(05))とタッグを組む。
(『マーサ、あるいはマーシー・メイ』プレスより引用)
▼ ショーン・ダーキン監督、ジュード・ロウ、キャリー・クーン、ウーナ・ロッシュ、チャーリー・ショットウェル、アディール・アクタル、マイケル・カルキン共演の『不都合な理想の夫婦』(20)。