[Introduction] 「ミンスミート作戦」とは、第二次大戦中の1943年に英国が実行した欺瞞作戦。連合軍の上陸目標がシチリアではなく、ギリシャだとナチに思わせるために、実在しない将校の遺体を海に流し、彼が持っていた偽の文書の情報がベルリンに届くように仕組んだ。本作は、元弁護士で、大戦中は海軍の情報将校としてミンスミート作戦を主導したユーエン・モンタギューが1953年に出版したノンフィクション『実在しなかった男(The Man Who Never Was)』の映画化。監督は、後にパニック映画『ポセイドン・アドベンチャー』(72)で大きな成功を収めるロナルド・ニーム。
本作の原作は、海軍の情報将校として「ミンスミート作戦」を主導したユーエン・モンタギューが1953年に出版した『実在しなかった男(The Man Who Never Was)』。『ある死体の冒険』として邦訳が出たこともあるようだ。後に英国の作家ベン・マッキンタイアーがこの作戦の全容を明らかにした『ナチを欺いた死体――英国の奇策・ミンスミート作戦の真実』には、モンタギューのこの本のことが以下のように説明されている。