[ストーリー] 1970年代のブダペスト。元日本大使未亡人の看護人として住み込みで働くリザの心のよりどころは、日本の恋愛小説と、リザにしか見えないユーレイの日本人歌手、トミー谷。孤独な毎日を軽妙な歌声で元気付けてくれるが、リザは恋愛小説にあるような甘い恋に出会うべく、30歳の誕生日に未亡人に2時間だけ外出許可をもらう。
だが、その間に未亡人が何者かに殺害されてしまう。刑事ゾルタンが捜査を命じられ、リザが恋した人間が“死者”となる奇怪な殺人事件が次々と起こる。その影にチラつくのはキツネの呪い。果たして孤独なリザに幸せはやってくるのか――。[プレス参照]
CMディレクター及びプロデューサーとして活動しながら、短編映画を撮ってきたウッイ・メーサーロシュ・カーロイ監督の長編デビュー作です。
映画を観てすぐに連想するのは、ジャン=ピエール・ジュネの『アメリ』。それに、日本的なエキゾティシズムとブラック・ユーモアを加味したような世界ですが、2作品を比較してみるとなかなか面白いです。
アメリは、相手に気づかれないように他人を少しだけ幸福にするということを繰り返していきます。一方この映画では、日本の恋愛小説のような出会いを求めるリザと接点を持った男たちが、彼女も気づいていない邪悪な力によって、死者になっていきます。
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