[ストーリー] クリスティーンは、事故の後遺症により毎朝目覚める度に、前日までの記憶が失われてしまう特殊な記憶障害を負っている。夫のベンは、結婚していることや夫である自分のことすらも忘れてしまう彼女を、献身的な愛で支えていた。ある日、ベンの留守中に医師を名乗る男から電話がかかってくる。
少し前から夫に内緒で、クリスティーンの治療にあたっているという医師は、 「数週間、あなたは毎日の出来事をひそかに映像日記として撮影してきた」と言い、その隠し場所を告げる。そして、日記を再生したクリスティーンは、記憶障害の原因が、誰かに襲われて瀕死の重傷を負ったことだと知る。夫の言葉と相反する医師の言葉。一体誰を信じればいいのか?クリスティーンは昨日の自分からのメッセージ″を頼りに、謎を追っていくが、辿りついた真実は、想像もできないものだった。
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ローワン・ジョフィ はローランド・ジョフィ監督の息子で、脚本家として活躍したあと、『ブライトン・ロック』 (10)で監督デビューしました。『リピーテッド』(14)は、彼の監督第2作になります。
筆者は、『ブライトン・ロック』 が2010年の東京国際映画祭で上映されたときに、来日したジョフィ監督にインタビューする機会に恵まれましたが、そのときすでに次回作はS・J・ワトソンの『Before I Go to Sleep』(日本語版は『わたしが眠りにつく前に』)の映画化だと語っていました。原作が刊行されたのはその翌年なので、刊行前から映画化の企画が動き出していたということですが、完成までに予想以上に時間がかかりました。
『ブライトン・ロック』 のラストでは、ヒロインのローズが、愛の幻想と狂気にとらわれてしまいますが、この新作の世界は、そんなイメージと繋がっているようにも思えます。また、ジョフィ監督は、主人公のギャング、ピンキーのキャラクターについて説明する流れのなかで、以下のように語っていました。
「考えてみると、私たちはお互いが信じられなくなるようなパラノイアの時代に生きています。気をつけないと、私たちが向かっている世界をピンキーが表しているということになりかねません」
この発言も新作との接点を感じます。