[Introduction] いま、世界の映画シーンでその動向が最も注目されている映画会社A24とプランBが、アカデミー賞作品賞に輝いた『ムーンライト』以来となるタッグを組んだのが『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』だ。新鋭監督ジョー・タルボットは、2019年サンダンス映画祭で上映された本作で、監督賞と審査員特別賞をW受賞し、華々しい長編映画デビューを果たした。
幼なじみでもあるタルボットと主演のジミー・フェイルズは、友情、家族、そして目まぐるしく変わっていくサンフランシスコという街への愛情を丹念に描くことに成功した。この映画は、自らが存在するコミュニティの大切さ、そして本来の自分になるために自問する一人の男の姿を描いた秀逸なパーソナル・ストーリーだ。主人公ジミーは、自分たちを取り残したまま経済発展や都市開発によって急速に変わっていく街で、親友のモントとともに心の置きどころを探し求めている。(プレス参照)
[Story] サンフランシスコで生まれ育ったジミーは、祖父が建て、かつて家族と暮らした思い出の宿るヴィクトリアン様式の美しい家を愛していた。変わりゆく街の中にあって、地区の景観とともに観光名所になっていたその家は、ある日現在の家主が手放すことになり売りに出される。
再びこの家を手に入れたいと願い奔走するジミーは、叔母に預けていた家具を取り戻し、いまはあまり良い関係にあるとは言えない父を訪ねて思いを語る。
そんなジミーの切実な思いを、友人モントは、いつも静かに支えていた。
いまや都市開発・産業発展によって、“最もお金のかかる街”となったサンフランシスコで、彼は失くしたものを、自分の心の在りどころであるこの家を取り戻すことができるのだろうか。
ニューズウィーク日本版の筆者コラム「映画の境界線」で本作を取り上げています。その記事をお読みになりたい方は以下のリンクからどうぞ。
● オバマ大統領がベストムービーに選出した『ラストブラックマン・イン・サンフランシスコ』 |