ジョン・シングルトン監督の『フォー・ブラザーズ/狼たちの誓い』には、ふたつの見所がある。ひとつは、主人公となる4兄弟のキャラクターだ。長男のボビーと四男のジャックは白人で、次男のジェリーと三男のエンジェルは黒人だ。
実は彼らは、里親の世話人であるエブリンに育てられた。というか、彼らがあまりにも問題児であったために、里親が見つからず、彼女が養子にするしかなかったのだ。そんな養母が強盗に殺害され、デトロイトに帰郷した彼らは、復讐を決意する。
シングルトンの『シャフト』(00)は、70年代のブラックスプロイテーション・フィルムのリメイクでありながら、主人公にマチズモ的な要素が希薄だった。それに比べると、この映画のボビーやエンジェルは、マチズモが際立つ。そんな挑発的なキャラクターとバックに流れるモータウンを意識したナンバーは、70年代へのオマージュになっている。
そしてもうひとつは、ミステリの要素だ。強盗による行きずり犯行だと思われた事件は、計画的な殺人だったことが次第に明らかになる。事件の背後からは、デトロイトのインナーシティの再開発をめぐる利権争いが浮かび上がる。
オマージュだけではなく、現在のデトロイトの状況が題材になってもいるのだ。しかし、こちらの見所には問題がないわけではない。
たとえば、エミネムが主演したカーティス・ハンソン監督の『8mile』では、デトロイトの荒廃したインナーシティの日常をリアルに浮き彫りにすることで、ホワイトトラッシュの主人公と黒人の仲間たちの絆がリアルなものになっていく。
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◆スタッフ◆ |
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監督 |
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ジョン・シングルトン
John Singleton |
脚本 |
ポール・ラヴェット、デヴィット・エリオット
Paul Lovett, David Elliot |
撮影 |
ピーター・メンジースJr.
Peter Menzies Jr. |
編集 |
ビリー・フォックス、アレクサンダー・ガルシア、ブルース・キャノン
Billy Fox, Alexander Garcia, Bruce Cannon |
音楽 |
デヴィッド・アーノルド、エド・シェアマー
David Arnold, Ed Shearmur |
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◆キャスト◆ |
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ボビー |
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マーク・ウォールバーグ
Mark Wahlberg |
エンジェル |
タイリース・ギブソン
Tyrese Gibson |
ジェリー |
アンドレ・ベンジャミン
Andre Benjamin |
ジャック |
ギャレット・ヘドランド
Garrett Hedlund |
エブリン |
フィオヌラ・フラナガン
Fionnula Flanagan |
グリーン警部 |
テレンス・ハワード
Terrence Howard |
ビクター |
キウェテル・イジョフォー
Chiwetel Ejiofor |
ファウラー刑事 |
ジョシュ・チャールズ
Josh Charles |
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(配給:UIP) |
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