ボブ★ロバーツ
Bob Roberts


1992年/アメリカ=イギリス/カラー/103分/ヴィスタ/ドルビー
line
(初出:)

メディア操作の果てにつくりあげられた虚像

 『90年代アメリカ映画100』(芸術新聞社刊)に、上記タイトルで本作品の原稿を書いておりますので、ぜひお読みいただきたいと思いますが、とりあえずここには、別の機会に書いた短いレビューをアップしておきます。こちらもそこそこ参考にはなるかと思います。映像とあわせてお読みいただくと、よりわかりやすいかもしれません。

                  ◆   ◆   ◆

 湾岸情勢が緊迫する90年に上院議員選に立候補する実業家にしてフォーク・シンガーのボブ・ロバーツは、上昇志向と拝金主義がはびこるウォール街で成功を収めた80年代の申し子だ。

 アメリカの夢の体現者として脚光を浴びる彼は、メディアを巧みに操り、過去の不正が露見しかかると銃撃される狂言まで仕組み、権力を手にする。

 彼のキャンペーンをドキュメンタリーのカメラが追うこの映画の元ネタは、ボブ・ディランの60年代のツアーを記録した『ドント・ルック・バック』であり、また、テレビ番組で60年代の価値を真っ向から否定する彼は、自分の主張を盛り込んだディランもどきのアルバムを作り、スターとなる。

 そんな60年代と80年代の対照には、痛烈な風刺だけでなく深刻な危機感を垣間見ることができる。


◆スタッフ◆
 
監督/脚本   ティム・ロビンス
Tim Robbins
撮影 ジャン・ルピーヌ
Jean Lepine
編集 リサ・ゼノ・チャージン
Lisa Zeno Churgin
音楽 デイヴィッド・ロビンス
David Robbins
 
◆キャスト◆
 
ボブ・ロバーツ   ティム・ロビンス
Tim Robbins
バグス・ラプリン ジャンカルロ・エスポジート
Giancarlo Esposito
ルーカス・ハート三世 アラン・リックマン
Alan Rickman
チェット・マクレガー レイ・ワイズ
Ray Wise
ブリックリー・ペースト議員 ゴア・ヴィダル
Gore Vidal
テリー・マンチェスター ブライアン・マーレイ
Brian Murray
ローズ・ポンデル ヘレン・ハント
Helen Hunt
マック・ラフリン デイヴィッド・ストラザーン
David Strathairn
チャック・マーリン ジェームズ・スペイダー
James Spader
ダン・ライリー ピーター・ギャラガー
Peter Gallagher
ロジャー・デイヴィス ジャック・ブラック
Jack Black
「カッティング・エッジ」ホスト ジョン・キューザック
John Cusack
チップ・ダリー フレッド・ウォード
Fred Ward
-
(配給:アスミック)
 

 

 

(upload://)
 
 
《関連リンク》
テレビに翻弄され、人生を狂わせていく者たち
――『リチャード・ニクソン暗殺を企てた男』と『バス174』をめぐって
■
アメリカの無垢な時代の終焉
――50年代最大の醜聞を描いた『クイズ・ショウ』とその背景
■

 
amazon.co.jpへ●
 
ご意見はこちらへ master@crisscross.jp