[ストーリー] イギリス南西部の美しい海辺の町コーンウォールに住む青年ティムは、両親と妹、そして伯父の5人家族。一家はどんな天気でもピクニックを楽しみ、週末は野外映画上映を満喫する、風変わりだけど仲良しな家族。しかしどこか自虐的で自分に自信のないティムは年ごろになっても彼女ができずにいた。そして迎えた21歳の誕生日、一家に生まれた男たちはタイムトラベル能力があることを父から知らされる。
そんな能力に驚きつつも恋人ゲットのためにタイムトラベルを繰り返すようになるティム。弁護士を目指してロンドンへ移り住んでからは、チャーミングな女の子メアリーと出会い、恋に落ちる。ところが最高だと思っていたタイムトラベルが引き起こす不運によって、二人の出会いはなかったことに! なんとか彼女の愛を勝ち取り、その後もタイムトラベルを繰り返し人とは違う人生を送るティムだったが――。[プレスより]
『ラブ・アクチュアリー』のリチャード・カーティス監督の新作『アバウト・タイム〜愛おしい時間について〜』は、前半と後半でドラマのトーンが大きく変わる。前半はロマンティック・コメディとして展開していく。
自分の過去に何度でも戻れるというのはかなりの特権だ。だが、その能力でなんでも思い通りになってしまえば物語の面白みは失われてしまうだろう。この映画はそんな課題を巧みにクリアしている。
父親から自分の能力のことを教えられたティムは、夏休みに一家の家に滞在することになった美女シャーロットに恋をし、能力を使って彼女にアタックする。だが、彼女の言葉と胸の内が一致しているとは限らない。だから言葉を真に受けて、いくら“タイミング”だけを合わせることができても、彼女の心まで動かすことはできない。
その後、ロンドンに出て、父親の友人で舞台作家のハリーの家に下宿することになったティムは、魅力的なのにどこか自分に自信のないメアリーに出会う。この出会いもなかなか演出が巧みだ。ティムは友人と二人で、暗闇のなかで飲み食いする変わった店に行き、そこで女子の二人組と知り合う。暗闇のおかげでティムとメアリーの会話は弾み、店の外に出たときにはすでにそれなりに打ち解けている。
ところが、そんなティムが帰宅すると、ハリーの大切な舞台が散々な結果に終わったことがわかる。そこでティムは過去に戻って、舞台が失敗するのを食い止めようとする。だが、そのせいでメアリーとの出会いがなかったことになってしまう。 |