「本書は、金融危機をめぐる出来事の当事者二〇〇名あまりに対しておこなった、五〇〇時間を超えるインタビューの所産である。ウォール街の最高経営責任者、役員、経営陣、アメリカ合衆国政府の過去または現在の職員、外国政府職員、銀行家、法律家、会計士、コンサルタント、その他の顧問といった当事者の多くは、本書の細部を支える同時発生的なメモ、電子メール、テープ録音、内部プレゼンテーション、申立書の草稿、台本、予定表、通話記録、請求記録、経費報告書などの証拠書類を示してくれた。彼らはまた、何時間もかけて当時の会話やさまざまな会合のくわしい内容を思い出してくれた。その多くは法廷での陳述を拒否できる秘密情報だったはずである。」[ 「著者のことば」より]
「本書の核となるのは失敗の物語である。それは世界を屈服させ、資本主義の本質に疑問を投げかけた失敗だった。ここにくわしく描き出される個人は献身的で、幾度も途方に暮れる。多くは偉大な自己犠牲の精神から、しかし同じくらい多くは保身のために、世界と自分をこれ以上の災害から守ろうと懸命に努力した。本書の登場人物が、ほんの小さな譲歩から莫大な献身まで、程度の差こそあれ己の利益を顧みず、協力し合って最悪の事態を防いだと言えればどんなにいいだろう。ある場面ではそういうこともあった。しかし、読めばわかるとおり、彼らは決断を下す際に、苛烈な競争と権力争い――ウォール街とワシントンに長らく定着した文化――から完全には逃れられなかった。
つまるところ、これは人間のドラマであり、自分たちは大きすぎてつぶれないと信じていた人々のあやまちの物語である。」[ 「プロローグ」より]
レビューのテキストは準備中です。しばらくお待ちください。アメリカでは同名のテレビ映画『Too Big to Fail(原題)』(11)も製作されました。監督は『L.A.コンフィデンシャル』や『ワンダー・ボーイズ』で知られるカーティス・ハンソン。キャストは、ジェームズ・ウッズ、ウィリアム・ハート、ポール・ジアマッティなど、なかなか豪華です(下のほうに予告もはりました)。ウィリアム・ハートがヘンリー・ポールソン財務長官を、ジアマッティがベン・バーナンキ議長を演じています。DVDにもなっています。
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