リーマンショック・コンフィデンシャル / アンドリュー・ロス・ソーキン
TOO BIG TO FAIL: The Inside Story of How Wall Street and Washington Fought to Save the Financial System from Crisis-and Themselves / Andrew Ross Sorkin (2009)


2010年/加賀山卓朗訳/早川書房
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(初出:)

ニューヨーク・タイムズのトップ記者が切り込む
リーマン・ショックのセンセーショナルな裏側

 「本書は、金融危機をめぐる出来事の当事者二〇〇名あまりに対しておこなった、五〇〇時間を超えるインタビューの所産である。ウォール街の最高経営責任者、役員、経営陣、アメリカ合衆国政府の過去または現在の職員、外国政府職員、銀行家、法律家、会計士、コンサルタント、その他の顧問といった当事者の多くは、本書の細部を支える同時発生的なメモ、電子メール、テープ録音、内部プレゼンテーション、申立書の草稿、台本、予定表、通話記録、請求記録、経費報告書などの証拠書類を示してくれた。彼らはまた、何時間もかけて当時の会話やさまざまな会合のくわしい内容を思い出してくれた。その多くは法廷での陳述を拒否できる秘密情報だったはずである。」[ 「著者のことば」より]

 「本書の核となるのは失敗の物語である。それは世界を屈服させ、資本主義の本質に疑問を投げかけた失敗だった。ここにくわしく描き出される個人は献身的で、幾度も途方に暮れる。多くは偉大な自己犠牲の精神から、しかし同じくらい多くは保身のために、世界と自分をこれ以上の災害から守ろうと懸命に努力した。本書の登場人物が、ほんの小さな譲歩から莫大な献身まで、程度の差こそあれ己の利益を顧みず、協力し合って最悪の事態を防いだと言えればどんなにいいだろう。ある場面ではそういうこともあった。しかし、読めばわかるとおり、彼らは決断を下す際に、苛烈な競争と権力争い――ウォール街とワシントンに長らく定着した文化――から完全には逃れられなかった。
 つまるところ、これは人間のドラマであり、自分たちは大きすぎてつぶれないと信じていた人々のあやまちの物語である。
」[ 「プロローグ」より]

 レビューのテキストは準備中です。しばらくお待ちください。アメリカでは同名のテレビ映画『Too Big to Fail(原題)』(11)も製作されました。監督は『L.A.コンフィデンシャル』や『ワンダー・ボーイズ』で知られるカーティス・ハンソン。キャストは、ジェームズ・ウッズ、ウィリアム・ハート、ポール・ジアマッティなど、なかなか豪華です(下のほうに予告もはりました)。ウィリアム・ハートがヘンリー・ポールソン財務長官を、ジアマッティがベン・バーナンキ議長を演じています。DVDにもなっています。


◆目次◆

    著者のことば
  プロローグ 大きすぎてつぶせない
第1章 リーマン株急落
第2章 ポールソン財務長官の怒り
第3章 NY連銀総裁ガイトナーの不安
第4章 バーナキンFRB議長の苦闘
第5章 リーマン収益報告への疑念
第6章 襲いかかる空売り
第7章 揺れるメリルリンチ
第8章 瀕死の巨人AIG
第9章 ゴールドマン・サックスの未来
第10章 ファニーメイとフレディマック株急落
第11章 リーマンCEOの焦り
第12章 倒れゆく巨大金融機関
第13章 誰がリーマンを救うのか?
  引用出典に関する覚書
  原注および情報ソース
  登場人物/組織一覧
  [以下、下巻]
第13章 誰がリーマンを救うのか?(承前)
第14章 全CEO招集
第15章 リーマンの最期
第16章 AIG倒れる
第17章 モルガン・スタンレー絶体絶命
第18章 三菱UFJからの電話
第19章 揺らぐゴールドマン・サックス
第20章 ワシントンDCへの最終招集
  エピローグ リーマン・ショックのあとに
  謝辞
  登場人物表
  原注および情報ソース

◆著者プロフィール◆

アンドリュー・ロス・ソーキン
ニューヨーク・タイムズのトップ記者。金融、企業合併専門。ヒューレット・パッカードのCompaq買収や、IBMによるPC製造部門のLenovoへの売却など、次々とスクープを連発。これまでに100を超える一面記事の執筆に関わってきた。2009年10月に発表された本書は、6カ月の長期にわたりニューヨーク・タイムズのベストセラーリストを賑わせ、リーマン・ショック関連本の決定版として大きな話題となった。

 
 

 

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