マーダー(原題)
Murder


2004年/インド/カラー/130分/ドルビーデジタル
line
(初出:)

 

 

妻が告白する真相、夫が告白する真相
そしてもうひとつの真相

 

[ストーリー] 物語は、ひとりの女性がパトカーに追われ、警官たちに拘束されるところから始まる。取り調べにあたる警部は、幸福な結婚をして、子供もいる女性がなぜ冷酷な殺人を行えたのかと首を傾げる。

 シムランは夫のスディールと息子とともに5年前にインドからバンコクに移り、新たな生活をスタートさせた。しかし言葉も文化も異なる環境のなかで、彼女は夫にも愛されず、友だちもできず、孤独に苛まれていた。夫との間の溝にはわけがある。スディールはもともとシムランの姉と結婚していた。息子も姉の子供だ。姉はもうこの世にないが、シムランはその死に負い目があり、子供のためにもとスディールと結婚したが、彼は姉のことを忘れられずにいた。

 そんなある日、シムランは街で昔の恋人サニーに再会する。彼はシムランにも関わりのあるトラブルで服役し、出所後、彼女を追ってバンコクにやって来たのだった。シムランはサニーとの情事に耽るようになるが、やがて彼が自分を裏切っていたことを知り、ナイフを手にする。

アヌラーグ・バス監督の出世作です。彼のスタイルの魅力は、巧みな時間軸の操作といえます。この映画では、シムランの告白に沿って事件が再現されていきます。しかし後半に入るところで今度は夫のスディールが登場し、その告白を通して真相が覆っていきます。しかもその先には、さらなるどんでん返しが待ち受けています。

ただし、バス監督は単にミステリやサスペンスを盛り上げるためだけに時間軸の操作を駆使するわけではありません。結末から振り返ってみると、男性のキャラクターは、シムランというヒロインの複雑な心理を炙り出す触媒の役割を果たしていることに気づきます。

■この映画では、エロティックな表現も非常に際立っています。ヒロインを演じたマリカ・シェラワットは、この後、デヴィッド・リンチを父に持つジェニファー・チェンバース・リンチが監督した『スピーシー・オブ・コブラ』(10)に主演したりもしています。


◆スタッフ◆
 
監督/原案/脚本   アヌラーグ・バス
Anurag Basu
脚本 Subodh Chopra
撮影 Fuwad Khan
編集 Akiv Ali
音楽 Anu Malik
 
◆キャスト◆
 
Simran Saigal   マリカ・シェラワット
Mallika Sherawat
Sudhir Saigal アシュミット・パテル
Ashmit Patel
Sunny イムラン・ハシュミ
Emraan Hashmi
Guest appearance (lounge singer) カシュミラ・シャー
Kashmira Shah
Inspector Rajvir Singh Rajendranath Zutshi
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(配給:)
 

 

 

(upload:2014//)
 
 
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