今度の日曜日に
On Next Sunday  Kondo no nichiyobi ni
(2009) on IMDb


2009年/日本/カラー/105分/ヨーロッパ・ヴィスタ/ドルビーSR
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(初出:Into the Wild 1.0 | 大場正明ブログ 2009年2月10日更新、若干の加筆)

 

 

登場人物たちの距離を巧みに描き出すユーモア

 

 世代や国籍や生活環境など、まったく何の接点もない男女の交流を描いたけんもち聡監督の『今度の日曜日に』は、ほのぼのとしたドラマのように見えて、さり気なく鋭いユーモアが盛り込まれている。

 韓国から日本に留学し、大学で映像の勉強をする女の子ソラは、自分と向き合うことができず、実習の課題も決められない。そこには、実は下心があって日本に来たものの、当てが外れてしまったという事情がある。

 そんなソラにクラスメートが、韓国人から見た日本人というテーマを提案するが、彼女は、「私は韓国代表じゃありません」ときっぱりと拒絶する。そして、以前からその存在が気になっていた、わけありで掛け持ちのバイトに追われるオジサン・松元を題材に選ぶが、理由を問われてもなにも見えてないので説明のしようがない。

 それでもとりあえず松元の生活に入り込んだ彼女は、ある日、松元と彼を訪ねてきた息子のためにチゲ鍋を作る。本場のチゲ鍋は親子には辛すぎるが、親子は気を使い我慢して食べる。そのとき、お互いの味覚の違いに無頓着なソラは、気づかぬうちに“韓国代表”になっているともいえる。

 ヒロインは、松元という他者を通して自己に目覚めていくことになるが、筆者にはクライマックスの泣けるドラマよりも、登場人物たちの距離を巧みに描き出すユーモアが印象に残った。


◆スタッフ◆
 
監督/脚本   けんもち聡
撮影 猪本雅三
編集 李英美
音楽 渡辺善太郎
 
◆キャスト◆
 
松元茂   市川染五郎
ユンナ チェ・ソラ
神藤光司 竹中直人
イ・ヒョンジュン ヤン・ジヌ
ソラの母 チョン・ミソン
伊坂美奈子 大和田美帆
大村敦史 中村俊太
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(配給:ディーライツ)
 

 

(upload:2012/06/19)
 
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