IFILM やALWAYSi.com のように、オンラインで映像作品を楽しめるサイトは確実に増加し、内容もそれぞれに充実してきている。
そして、こうしたサイトが発展するにしたがって気になってくるのが、既成の映画界とオンラインの新興勢力やそれを支えるテクノロジーが、これからどのように結びつき、映像表現やビジネスを変えていくのかということだ。そこで注目してみたいのが、オンライン映画祭である。こうした映画祭はだんだんとスケールが大きくなり、既成の映画界との接点が広がりつつある。
その好例といえるのが今年(2000年)から始まったYahoo! Internet Life Online Film Festivalだ。この映画祭は、アカデミー賞授賞式の直後、3月の22、23日に2日間に渡ってロスで開催され、オンラインの勢力がハリウッドに乗り込んだかのような印象を与えた。ネットのユーザーは、この映画祭のサイト(※この原稿をアップする時点では、
サイトはアクセス不能になっていた)に並ぶ最優秀短編のノミネート作品を観て、気に入った作品に投票し、トップとなった受賞作品が会場で上映された。
このサイトでは、映画祭のハイライト・シーンを集めた映像を見ることができる。そこには、ニコラス・ケイジやタランティーノ、リンチなどの姿もあるが、おそらく一番注目を集めたのは、『リービング・ラスベガス』の監督マイク・フィッギスだろう。というのも、彼がデジタル・ビデオを駆使した最新作『Time Code』のワールド・プレミアが、映画祭の目玉になっていたからだ。
映画祭のサイトにリンクしているフラッシュ・ページTime Code では、この作品の解説、予告編、サントラなどをチェックできるが、アイデアがかなり大胆で面白そうな作品である。
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この映画は、四分割された画面で相互にかかわりのある四つのドラマ(すべてワンカット)が並行して描かれ、それが最後にひとつにまとまるという。
このアイデアは、ドグマ95の4人の監督たちが、昨年の大晦日から新年にかけて行ったイベントに通じるところもあるが、こちらはもっと緻密に計算された作品のようだ。
この映画祭のスポンサーに名前を連ねるindieWIRE(インディーズ映画ファンにはお薦めのサイトである)では、デジタル・ビデオに進出したフィッギスのロング・インタビュー を読むことができる。この記事によれば、この新作の撮影にあたってスタッフ、
キャストは、四つのドラマを正確にシンクロさせるために、デジタル・ウォッチを携帯していたという。キャストは、サルマ・ハエック、サフロン・バロウズの他、ホリー・ハンターやカイル・マクラクランなども顔を出している。