キャスタウェイズ・アンド・カットアウツ
/ ザ・ディセンバリスツ
Castaways And Cutouts / The Decemberists (2002)


 
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(初出:)

 

 

異彩を放つソングライティングとヴォーカル
ユニークな楽器編成が生み出すダイナミズム

 

 オレゴン州ポートランド出身のインディー・フォークロック・バンド、ザ・ディセンバリスツのデビューアルバムです。バンドが結成されたのは2000年のこと。フロントマンのコリン・メロイは1974年10月4日、モンタナのヘレナ生まれ。大学時代から音楽活動を行い、モンタナ時代にはハッピー・カクタス(Happy Cactus)、ターキオ(Tarkio)というふたつのバンドで活動しました。その後、ポートランドに移り、そこでベースのネイト・クエリーやキーボードのジェニー・コンリーと出会い、ザ・ディセンバリストが誕生します。

 この『キャスタウェイズ・アンド・カットアウツ』がリリースされたのは2002年のことですが、アルバムが注目されたのは、彼らがHush RecordsからKill Rock Starsに移り、2003年に再リリースされてからでした。当時は、ニュートラル・ミルク・ホテルの名作『イン・ザ・エアロプレーン・オーバー・ザ・ シー/In the Aeroplane Over the Sea』(98)とさかんに比較されました。

 コリン・メロイがリリシストとして特異な感性を備えていることは、アルバムのオープニング・ナンバー<Leslie Anne Levine>を聴いただけでもよくわかります。この曲では、この世に9時から正午まで3時間しか生きることがなかった死産児の一人称で物語が紡がれます。

 そんな感性は、メロイがオレゴン大学やモンタナ大学で演劇やクリエイティヴ・ライティングなどを専攻することで培われたのではないかと思われます。ちなみに彼は、あるインタビューで、言葉の使い方やリズムについては、詩人のディラン・トマスから大きな影響を受けたと語っています。

 バンドは5人編成で、楽器の構成がユニークです。アコースティック・ギターを中心に、アコーディオン、テルミン、ハモンドオルガン、ピアノ、弓弾きのウッドベース、様々なパーカッションが絡み合い、歌詞の世界と響き合う変化に富むサウンドを生み出しています。


◆Jacket◆
 
◆Track listing◆

01.   Leslie Anne Levine
02. Here I Dreamt I Was an Architect
03. July, July!
04. A Cautionary Song
05. Odalisque
06. Cocoon
07. Grace Cathedral Hill
08. The Legionnaire's Lament
09. Clementine
10. California One / Youth And Beauty
Brigade

◆Personnel◆

The Decemberists: Colin Meloy (vocals, guitar, percussion); Chris Funk (pedal steel guitar, Theremin); Jenny Conlee (accordion, piano, Fender Rhodes, organ); Nate Query (upright & bowed bass); Ezra Holbrook (drums, percussion, background vocals)

(Kill Rock Stars )
 

 



(upload:2015//)
 
 
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