◆目次◆ |
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まえがき |
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序章 |
クジラと人間 |
01. |
クジラを食べることが地球を救う |
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試金石としてのクジラ問題/地球環境学の視点から/巧みな言語操作の裏側 |
02. |
クジラ問題が提起する五つの課題 |
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文化の多様性は、クジラ論争に寄与するか/クジラは地球の共有財産か/クジラと人間の交渉史から指針を得られるか/クジラ問題に普遍的原理はあるか/クジラと人間の共存に処方箋はあるか |
第1章 |
クジラの浜 |
01. |
列島北部のクジラ文化とそのルーツ |
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縄文の遺跡から出土した骨/クジラが漂着する場所/青龍刀の謎 |
02. |
列島南部のクジラ文化とそのルーツ |
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三井楽漁民の無念/遺跡から出土する鯨骨製の道具 |
03. |
魚とクジラ |
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なぜ湾地形に漂着するのか/魚の王 |
第2章 |
クジラの経済学 |
01. |
消費と非消費 |
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種類・地域・文化を踏まえた議論が必要/クジラを資源として見ると…/シロナガスクジラの生存を脅かすクロミンククジラ/人間の漁獲量を凌ぐ大食漢 |
02. |
暮らしとしてのクジラ製品 |
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クジラのヒゲとバネ/鯨油は食料、灯火油、農薬…と利用価値絶大/鯨骨は釣りばり、へら、農具などの道具に |
03. |
食文化としてのクジラ |
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肉食禁忌とクジラ食/古代から中世のクジラ食/江戸で成熟したクジラ食/クジラ料理は地方色豊か |
04. |
世界史のなかのクジラ |
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着物の寸法をはかる/石油の登場によって衰退した鯨油/肥料としての鯨骨/まだまだある恩恵/魚としてのクジラ利用 |
第3章 |
クジラと日本文化 |
01. |
捕鯨技術と日本文化 |
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変化のなかで持続する/捕鯨研究の主流は技術史/銛漁の展開/戦国時代の戦闘具発達と捕鯨/綱取り式捕鯨による効率アップ/イルカ漁は銛と網で/捕鯨技術の一大センター |
02. |
クジラ観と日本文化 |
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クジラは魚か/魚であり人間でもある存在/エビス信仰とクジラ/ベトナムと日本の類似点、相違点/首尾一貫性のない考え/憐れみと供養/たたりと恐れ/クジラの標し |
第4章 |
クジラと政治 |
01. |
クジラと人間のかかわり |
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動物と人間の絆/消費的な関係の例/消費と非消費の併存する例/非消費関係の例 |
02. |
クジラをめぐる言説 |
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論争の留意点/反故にされた科学委員会の意見/生存捕鯨と商業捕鯨/生存とは何か/アイヌの立場、エスキモーやイヌイットの立場/反捕鯨国の自己矛盾/地域の捕鯨と混穫/クジラはいずこへ/スーパーホエール論 |
03. |
国家とクジラ |
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捕鯨国と反捕鯨国、主張の違い/反捕鯨国の発言/捕鯨を推進ないし支持する国の発言/非政府団体の主張/クジラの言説の乖離/調査捕鯨のありかたをめぐって |
第5章 |
クジラとコモンズ |
01. |
クジラの所有者は誰か |
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衝突する主権海域の主張/オープン・アクセス、リミテッド・エントリー、そしてサンクチュアリ/競争から規制へ/聖域論の台頭 |
02. |
クジラと汚染 |
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生物濃縮/極北のジレンマ |
03. |
地域とコモンズ |
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技術文明の残酷な仕打ち/ハワイ、ミクロネシア、エスキモー、インドネシアにおける所有観/日本の所有観 |
04. |
捕鯨と漁業 |
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日米捕鯨の出会い/捕鯨は漁業の友/捕鯨は漁業の敵/シャチは大敵/イルカ裁判 |
第6章 |
クジラと人間の好ましい共存とは |
01. |
クジラ体験を考える |
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頻発する接触事故/ドルフィン・セラピー/ドルフィン・スイム/ホエール・ウォッチング/水族館 |
02. |
人間との共存は可能か |
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人間の行為がなければ、両者はほとんど出会わない/敢然と日本の主張とスタンスを/クジラは誰のものか |
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あとがき |
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参考文献 |
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◆著者プロフィール◆ |
秋道智彌―あきみち・ともや
1946年京都市生まれ。京都大学理学部動物学科卒業。東京大学理学系大学院人類学修士課程、同博士課程修了。国立民族学博物館教授を経て、現在、総合地球環境学研究所副所長、同研究推進戦略センター長。地域文化から地球規模の環境問題まで、多角的な視点から、自然と人間のありようを研究。現在も調査、成果発表のため、世界中を飛び回っている。
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