クジラは誰のものか / 秋道智彌


2009年/ちくま新書
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(初出:)

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◆目次◆

    まえがき
   
序章 クジラと人間
01. クジラを食べることが地球を救う
  試金石としてのクジラ問題/地球環境学の視点から/巧みな言語操作の裏側
02. クジラ問題が提起する五つの課題
  文化の多様性は、クジラ論争に寄与するか/クジラは地球の共有財産か/クジラと人間の交渉史から指針を得られるか/クジラ問題に普遍的原理はあるか/クジラと人間の共存に処方箋はあるか
第1章 クジラの浜
01. 列島北部のクジラ文化とそのルーツ
  縄文の遺跡から出土した骨/クジラが漂着する場所/青龍刀の謎
02. 列島南部のクジラ文化とそのルーツ
  三井楽漁民の無念/遺跡から出土する鯨骨製の道具
03. 魚とクジラ
  なぜ湾地形に漂着するのか/魚の王
第2章 クジラの経済学
01. 消費と非消費
  種類・地域・文化を踏まえた議論が必要/クジラを資源として見ると…/シロナガスクジラの生存を脅かすクロミンククジラ/人間の漁獲量を凌ぐ大食漢
02. 暮らしとしてのクジラ製品
  クジラのヒゲとバネ/鯨油は食料、灯火油、農薬…と利用価値絶大/鯨骨は釣りばり、へら、農具などの道具に
03. 食文化としてのクジラ
  肉食禁忌とクジラ食/古代から中世のクジラ食/江戸で成熟したクジラ食/クジラ料理は地方色豊か
04. 世界史のなかのクジラ
  着物の寸法をはかる/石油の登場によって衰退した鯨油/肥料としての鯨骨/まだまだある恩恵/魚としてのクジラ利用
第3章 クジラと日本文化
01. 捕鯨技術と日本文化
  変化のなかで持続する/捕鯨研究の主流は技術史/銛漁の展開/戦国時代の戦闘具発達と捕鯨/綱取り式捕鯨による効率アップ/イルカ漁は銛と網で/捕鯨技術の一大センター
02. クジラ観と日本文化
  クジラは魚か/魚であり人間でもある存在/エビス信仰とクジラ/ベトナムと日本の類似点、相違点/首尾一貫性のない考え/憐れみと供養/たたりと恐れ/クジラの標し
第4章 クジラと政治
01. クジラと人間のかかわり
  動物と人間の絆/消費的な関係の例/消費と非消費の併存する例/非消費関係の例
02. クジラをめぐる言説
  論争の留意点/反故にされた科学委員会の意見/生存捕鯨と商業捕鯨/生存とは何か/アイヌの立場、エスキモーやイヌイットの立場/反捕鯨国の自己矛盾/地域の捕鯨と混穫/クジラはいずこへ/スーパーホエール論
03. 国家とクジラ
  捕鯨国と反捕鯨国、主張の違い/反捕鯨国の発言/捕鯨を推進ないし支持する国の発言/非政府団体の主張/クジラの言説の乖離/調査捕鯨のありかたをめぐって
第5章 クジラとコモンズ
01. クジラの所有者は誰か
  衝突する主権海域の主張/オープン・アクセス、リミテッド・エントリー、そしてサンクチュアリ/競争から規制へ/聖域論の台頭
02. クジラと汚染
  生物濃縮/極北のジレンマ
03. 地域とコモンズ
  技術文明の残酷な仕打ち/ハワイ、ミクロネシア、エスキモー、インドネシアにおける所有観/日本の所有観
04. 捕鯨と漁業
  日米捕鯨の出会い/捕鯨は漁業の友/捕鯨は漁業の敵/シャチは大敵/イルカ裁判
第6章 クジラと人間の好ましい共存とは
01. クジラ体験を考える
  頻発する接触事故/ドルフィン・セラピー/ドルフィン・スイム/ホエール・ウォッチング/水族館
02. 人間との共存は可能か
  人間の行為がなければ、両者はほとんど出会わない/敢然と日本の主張とスタンスを/クジラは誰のものか
   
  あとがき
  参考文献

◆著者プロフィール◆

秋道智彌―あきみち・ともや
1946年京都市生まれ。京都大学理学部動物学科卒業。東京大学理学系大学院人類学修士課程、同博士課程修了。国立民族学博物館教授を経て、現在、総合地球環境学研究所副所長、同研究推進戦略センター長。地域文化から地球規模の環境問題まで、多角的な視点から、自然と人間のありようを研究。現在も調査、成果発表のため、世界中を飛び回っている。


 

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