◆目次◆ |
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はじめに
戦いの記憶
暴力はどこからきたか |
第1章 |
攻撃性をめぐる神話 |
01. |
人類の進化史と攻撃性
武器を持った猿人?
「血塗られた歴史」という物語
ローレンツの描く「人間性」 |
02. |
狩猟仮説
狩猟民は攻撃的か
攻撃性は本能に直結しない
祖型人類は狩猟民か
人類が受け継いだものの探求 |
03. |
暴力とは何か
暴力への愛憎
『キング・コング』という誤解
異種への攻撃性と同種への攻撃性
争いと暴力の原点を探る |
第2章 |
食が社会を生んだ |
01. |
生物がともに生きる意味
熱帯雨林に生きるということ
霊長類始まりの地
共生の森から
種子散布という戦略
霊長類と被子植物の共進化 |
02. |
食べることによって進化した能力
ゴリラのグルメ
霊長類の始まりの姿
葉食を可能にするメカニズム
ヒトに受け継がれた類人猿の食性 |
03. |
食物の違いがもたらすもの
霊長類だけがもつ特徴
食と体躯の多様な関係
食の相違が左右する社会構造 |
04. |
ニッチとテリトリー
熱帯雨林は食物の宝庫か
鳥類のテリトリーと食虫類のテリトリー
単独行動ペア型テリトリー |
05. |
昼の世界が集団生活を生んだ
単独で暮らす夜行性のサルたち
群れを作る昼行性のサルたち
昼の世界がもたらすもの |
06. |
食物と捕食者の影
真猿類は単独生活をしない
食物の質と分布が「群れ」を生むのか
身を守るために群れる |
07. |
食物をめぐる争いと社会性の進化
テリトリーから群れへ
優劣順位により争いを回避するニホンザル
スクランブルとコンテスト、二つの競合のかたち
食による社会理解の盲点 |
第3章 |
性をめぐる争い |
01. |
インセストの回避と社会の進化
サルたちのインセスト回避
家族の起源 |
02. |
ペア生活の進化
ペア生活のもたらす利益
テナガザルのペア生活
ペアと育児の関係 |
03. |
メスがオスの共存を左右する
オスが単数の群れと複数の群れの違い
出産期間かメスの数か
性皮の有無が分けるもの
人間集団の性の不思議 |
04. |
母系と父系
「血縁のないメス社会」という謎
ニホンザルの血縁関係
チンパンジーの社会性に迫る
群れを移籍するメスゴリラ
メスゴリラのいさかいとオスの仲裁
霊長類の母系と父系 |
05. |
娘と息子のゆくえ
インセストの回避が霊長類の社会構造を動かす
DNAが明かすサルたちの血縁
チンパンジーとボノボの交尾回避
ゴリラの旅立ち
インセストタブーがもたらす共存 |
第4章 |
サルはどうやって葛藤を解決しているか |
01. |
優劣順位とは何か
直線的に序列を決めるオスニホンザル
メスニホンザルの家系順位
群れの中の序列をどう読むか |
02. |
所有をめぐる争い
「先行者優先の原則」の混乱
序列意識の強いサルと弱いサル |
03. |
和解の方法
サルのさまざまな和解
チンパンジーは仲直りに積極的
「ホカホカ」で緊張を抑えるボノボたち
ゴリラが見つめ合う理由
仲裁と介入はどう違うか
三角関係のもつれをゴリラはどう収めたか
弱者による仲裁 |
04. |
食物を分配する類人猿
ゴリラたちの食卓
小さなゴリラが大きなゴリラをどかす
仲間に食物を乞うチンパンジー
ボノボの食物乞いは自己顕示なのか
類人猿以外のサルたちの分類
食物を分け与えるという戦略 |
05. |
性の相性は分けられない
異性をめぐる争いに解決策はあるか
順位の低いオスほど交尾する?
メスチンパンジーをめぐるオスたちの問題
ボノボの不思議な発情
オスたちの共存、ボノボ・チンパンジー・ゴリラ
娘ゴリラと父親の別れ
DNAが明かす父親ゴリラと息子の関係 |
第5章 |
暴力の自然誌――子殺しから戦争まで |
01. |
子殺しと社会の変異
病理か必然か
子殺しを生む社会
メスゴリラが群れを出るとき
子殺しの有無が社会構造を変える
「子殺し」発生の波紋
交尾と授乳の衝突
父性という抑制装置
人間社会は性と暴力をコントロールしているか |
02. |
人間はどう進化してきたか
人類誕生の地から
初期人類とチンパンジーの違い
二足歩行と狩猟
脳の進化と肉食
食べられる獲物としての人類
森を出た人類、森に残った類人猿 |
03. |
家族と不思議な生活史
二足歩行起源の諸説
二足歩行が生む分配
「多産」という人類の初期条件
人類と子殺し
祖型人類の社会構造を探る
インセストタブーが「家族」を生んだ
家族が分かち合うもの |
04. |
分かち合う社会
狩猟民の惜しみなき分配社会
贈与されるのは心理的負債か
「分け与える」ことと「分かち合う」ことは違う
類人猿と人類の分配の違い
食物のもつ社会的な力 |
05. |
所有と家族の起源
家族という社会
歌は言語に先立つ |
06. |
戦いの本質とは何か
チンパンジーは戦争をするか
拡大した共同体のゆくえ
大量殺戮はなぜ生まれたのか
狩猟的空間認知と農耕的空間認知
起源への問いが戦争を呼ぶ
霊長類としての人類の可能性 |
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参考文献 |
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おわりに |
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◆著者プロフィール◆ |
山極寿一――やまぎわ・じゅいち
1952年東京生まれ。京都大学大学院博士課程修了。理学博士。現在、京都大学大学院理学研究科教授。日本霊長類学界会長。専攻は霊長類社会生態学。人類進化論。長年にわたり、フィールドにて野生のニホンザルやチンパンジー、ゴリラの社会的行動の姿を追うとともに、その保護活動でも国際的に活躍する。
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