マリと子犬の物語


2007年/日本/カラー/124分/ヴィスタ/ドルビーデジタル
line
(初出:47NEWS花まるシネマ2007年12月4日更新、若干の加筆)

マリが守るのは子犬だけではない

 中越地震が発生し、全村避難で無人となった山古志村(現・長岡市)に、大きな注目を集めた犬がいた。地震の当日に三匹の子犬を出産したマリは、我が子を守って16日間を生き延び、無事に飼い主と再会した。

 この実話を脚色した『マリと子犬の物語』は、父、祖父、兄と暮らす少女・彩が、犬を拾い、マリと名付けるところから始まる。やがて地震が発生し、家屋の下敷きとなった少女と祖父は、マリに励まされる。だが、救出された彼らは、マリと子犬を残して避難しなければならない。

 しかし、山古志村に嵐が近づいていることを知った彩と兄の亮太は、自分たちだけでマリと子犬を助ける決意をする。

 犬の親子の絆、人と犬の絆は感動的だが、この映画が描こうとするのはそれだけではない。人と土地の繋がりも重要なテーマになっている。彩の父親は、山古志村が長岡市に編入合併されるのを機に、長岡に転居しようと考えていた。そんな彼の心は、マリによって変化する。

 彩がマリを拾うのは鎮守の森だ。そして、山古志村に戻ってきた彩は、やはり鎮守の森で、危機的な状況を生き延びたマリや子犬と再会する。つまりマリは、土地を守護する象徴的な存在でもあるのだ。


◆スタッフ◆
 
監督   猪股隆一
原作 桑原眞二、大野一興
脚本 山田耕大、清本由紀、高橋亜子
撮影 北信康
編集 三條知生
音楽 久石譲
 
◆キャスト◆
 
石川優一   船越英一郎
長谷川冴子 松本明子
石川亮太 広田亮平
石川彩 佐々木麻緒
安田啓一 高嶋政伸
関根博美 小林麻央
児島忠志 小野武彦
石川優造 宇津井健
-
(配給:東宝)

 


(upload:2010/02/06)
 
ご意見はこちらへ master@crisscross.jp